第3回 斎場御嶽の夜間観察会

 沖縄島南部の東の端、南城市知念の斎場御嶽では、 太陽がすでに西側の森の向こうへかくれ、夜の生き物たちの活動が始まろうとしています。
 去った2006年8月18日、南部でも比較的良好な森林が残るこの御嶽の夜の活動者たちを観察しようと 沖生研の野外研修会「斎場御嶽の夜間観察」に18名の参加者が集いました。
 研修会講師には両生・は虫類やオカヤドカリ類に関して公文書館史料編集室の当山昌直先生、 鳴く虫についてコザ高等学校の山城照久先生をお招きし解説して頂きました。  また、今回は生物に関することだけでなく、世界文化遺産に登録されている斎場御嶽の歴史的、 文化的な側面に関しても南城市生涯学習課の大城秀子さんに詳しく解説して頂きました。
 今回の研修により、斎場御嶽が琉球最高の聖地であり、琉球王国の最高神職「聞得大君」の 就任儀礼が行われた場所であること等を学ぶとともに、県の天然記念物で環境省レッドデータの 絶滅危惧U類に区分されるクロイワトカゲモドキが観察されるなど、その歴史的、文化的、 そして生物学的な価値の高さを再認識することができました。 さらに、森林内の夜の生物観察の楽しさを知ることができたのも成果の一つと言えるでしょう。

※本観察会は南城市教育委員会の許可を得て行われました。

いざ御嶽の中へ。往事、一般の者は御門口より中へは入れず、また男子禁制の杜でもありました。

斎場御嶽の歴史的側面について詳しい解説をしていただきました。御嶽内のイビ(神域)のうち大庫理、寄満、 三庫理は首里城内の建物や部屋と同じ名前がつけられているそうです。

国の天然記念物に指定されているオカヤドカリ類。県内に6種が生息しますが、写真はその中のオカヤドカリ。斎場御嶽では本種とムラサキオカヤドカリの2種がみられます。

外来種のシロアゴガエル。1964年に最初の記録があり80年半ばには沖縄島ほぼ全域に広がったとされます。砲弾池周辺には泡につつまれた卵塊もいくつか見られました。

「スィーッ、チチッ」と鳴くタイワンウマオイ。ライトに照らされても翅を震わせ一心に鳴いていました。前足のとげは餌となる小昆虫をとらえるためのものです。

2006年8月18日(金)南城市知念の斎場御嶽